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11.ガーナでのビジネス/中古車ビジネス


ガーナでのビジネス

 戦後まもなくの秋葉原に似ているのかもしれない。戦争が終わってどこにそんなものが残っていたの?というくらいいろいろ出現したのだとか。秋葉原には自然発生的に、ラジオ部品を売りに来る人が集まった。同様に、そこに修理部品を調達に来る人が集まり、それがどんどん大きくなり、どんどん近代化され、現在の秋葉原を形成したと聞いています。今のガーナはそんな初期の秋葉原に似ています。

 さて、ガーナという国は、国内生産力が乏しいので、ほぼすべての品、車は勿論、日用雑貨もすべて輸入です。ポリバケツなど、プラスチック容器は中国からの輸入品だそうです。道ばたで家庭用品、食器などを売っていましたが、この店(店構えは屋台に毛の生えた程度)では、オランダで中古品を集めてきて、ガーナに持ち帰り販売しているのだそうです。

 70%のボトム層に購買力はあまりありません。「欲しいけど買えない」を「買える」にチェンジする方法は2つ。安い商品を作るか(日本の100円ショップのような形態)、もしくは高い製品も中古として安くなってからガーナに持ち込む、です。

 
 中古のキッチン用品、聞けばオランダで回収したものをガーナに持ち帰ったのだとか  こちらはソファーなどの家具、”むろん”中古です

サンダル履きの人、多いですね

 こちらは中国から輸入した新品かと思います



 広告宣伝方法も、格差ピラミッドから日本とは全く違う形となります。まず我々なら当たり前のチラシ広告がありません。なぜって新聞を定期購読している人の話を聞かないからです。トップ10%については確認していませんが推測では、テレビ、ラジオが媒体かと思います。
広告は店自身、というのが主流です。人の往来の多い場所に店を構え、店頭に商品サンプルを置く、というスタイル。シンプルですが、原点ですよね。

 一番驚くのがプライシング。(アメリカスタイルのスーパー、ショッピングモールなどを除き)価格表示がありません。値段はすべて交渉で決まります。この国は、商品の供給が需要に追いついていないので、売り手市場なのだそうです。でも私などのようにこの習慣になれていない人間にとっては、なんだかおっかないですよね。



 「公用語は英語」 英語を公用語にしているくらいですから、すべて“英語でも“通せないことはありません。しかし友人いわく、もしあなたが外国人なら「これ何ドル?」と英語で聞くでしょうが、現地の人ならば「これ何セディス」とガーナ語で訪ねるでしょうね、と。まずここで交渉の視点、出発点が変わってくるそうです。

 次ぎにマーケティング(広告)ですが、まず我々のように新聞を定期購読すると言うケースはほとんどなさそうなので、この方法は使えません。広告なら高額なテレビかラジオかということになります。


 一番の広告方法は、店舗そのものを広告塔にすることです(上の写真は天井、壁などに貼る建材)。出来るだけ人通りの多い場所に店舗を持ち、そこで扱っているものを路面から見えるようにしておく方法です。ちなみに友人の妹さんが、中国のあちこちへ行き、建材(床用の石材、タイル、また天井や壁にはる構成樹脂のパネル)を購入、ガーナに輸入しています。彼女の店舗、また同じ商材を別な場所で販売している友人のお店を見ましたが、まさにその方法でした。
 余談ですが、彼の妹さん、お子さんが4人いらっしゃりながら大学院に通い、同時に輸入ビジネスをこなすというスーパーレディです。彼女の誕生パーティーには取引業者さんなど100名もの人が参加したというのですからスゴイですね。更にスゴイのは、それを収容出来た彼女の自宅の大きさでした。その地区で一番大きな家でした。


 「マークアップ」 もし競合のない商品であれば、何倍で売ろうとも売り手の勝手です。面白いのは、一部例外を除けば、どこにいっても値段の付いたものがない、ということです。なんだか寿司屋で高級まぐろに「時価」と値札を付けているようなものです。
 日本人は「品質」を自慢にしますが、こちらではとにもかくにも「値段」が先。これは日本でも同じですが「買いたい」のと「買える」というのは別物ですから。例えばフェラーリが買いたいか、まあほとんどの男性にとっては買いたいとは思うでしょうが、余程の金持ちでもなければ買わないでしょう。こちらガーナでは個人当たりのGDPが100分の1と聞いています。であれば、この買えるレベルがず〜っと下がります。

 自動車で言えば、韓国のKIA、インドのTATAの自動車が沢山走っています。欧州や日本の車に比べて安いからです。更には新車が買えない、でも欲しいから中古はないのか?となるわけです。日本で、まだ使えるテレビや古くなったパソコン、携帯電話を捨てていると話すと、ならば持ってきてくれ、という。

 「値段が決め手」 特に日本製品は人気があります。ただ新品は買えないでしょう。また、電気製品ですと電圧が220ボルトですし、車なら左ハンドル、といった具合に現地で修理が必要となってきます。それでもです、安ければ買いたい、と言ってくれています。なにせ修理にかかる人件費が安いですから。
 現在活躍している人の多くは、海外で暮らしていた人がガーナに戻ってきてビジネスをしているようです。外国人としては、例えばアジア人ですと、中国人が多く、次が韓国人、日本人はほとんどいないようです。中国の場合は国策もあって大勢が乗り込んで来ているようです。アメリカが支援して建設を始めている幹線道路は、中国のゼネコンが受注していると聞いています。

 日本人はもはやハングリー精神は持ち得ないでしょうし、また日本では全ての面でとても便利になっていますので、ガーナへ行くと何もかにもが不便と感じるかもしれません。せめて間にたってくれるガーナ人のパートナーは不可欠でしょう。


 「銀行」もいろいろあるようです。ある日、友人のオフィスでおしゃべりをしていたら向かいの銀行の女性がふらりと訪ねてきました。私がいるのを見て、「ねぇ、口座作らない?」と。「外人(の私)でもいいの?」との問いに、「全く問題ない」との返事。2日後、今度は若い男性スタッフが口座を作ってと訪ねてきました。聞けば、まずビジネスをするには500米ドルとパスポートを持ってきて、でした。私はあまり現金を持ち歩かないので(ボルネオなどにゴルフに行く時は一度も現地通貨を手にせず、カードだけで済ますことも)、今回は見送りました。ドル預金は利息は付きませんが、現地通貨での預金は勿論、高い利息が付きます。ちなみに半年定期が20%の利息が付くのだとか。ただ、当然のことながら為替の変動がありますので。(1ドル=約1.45ガーナ・セディ/2009年9月現在)

  ・外国人でも口座は作れます。ファンドとして米ドルで500ドル必要とのこと。なお、外貨には利息は付きません。

  ・ガーナ通貨には利息が付きますが、為替変動が大きそうなので、後に米ドルに戻す必要がある場合には要注意です。

  ・インターネットで口座管理も出来るそうです。

  ・(注)信頼できる人以外には”口座番号を教えてはいけない”、と言われました。システムの信頼性が低いので
    ハッキングされる可能性がある為、と聞きました。米ドルで決済し、自分で入金しなさい、とは友人の言葉でした。


 「ビジネスカルチャー」 私の友人とはアメリカ東部の大学で知り合い、私はその後帰国しましたが、彼はその後も修士へ進学し、更に就職もし、トータル30年以上もいたので永住権も持っています。そんな彼の3人の子供はすべてアメリカで生まれ、米国籍。それが昨年9月に母国ガーナへ戻ってきました。1つには息子の教育問題(アメリカは勉強以外の誘惑が強すぎた)、もう1つは(勤めていた証券会社JPモルガンでは、いくつもの賞も貰っていた彼だが)彼が受けた交通警官からの人種差別的扱い、そんな中、妹さんがガーナで成功していて、彼に戻って来てはどうかと言ってくれたからだそうだ。

 さて、ガーナ生まれの彼も、30年母国を不在にしていて、それでガーナに戻るとしばらくは”外国人”と冷やかされたのだとか。理由はビジネス感覚の違い。私がこの国に来て、価値観のあまりの違いに「一旦、過去の価値観を捨て、あらためてこの国を見ないと理解できないよね」と言うと、「僕はガーナ人だけど、やはりアメリカでの30年で培った価値観を、一旦捨てなくては理解出来なかったのだから」、と笑いながら話してくれました。



中古車ビジネス

 今回の旅行で1つテーマを持って行ったのが「中古車ビジネス」の状況視察でした。それを1つづつ紹介したいと思います。まずこの国では車のハンドルは日本とは反対、左側です。ですので、日本車を多数みかけますが、それらはアメリカから入ってきたものと聞きました。

 

中古車展示場

 ん?日本のトラック?

こちらも中古車展示場

 日本と違って値段は表示されていません

 TOYOTAのTACOMA、完璧にアメリカトヨタですね

 こちらトヨタのRAV4、輸出仕様




 日本から輸入する場合はハンドルを左側に付け替える、というので驚きました。そんなこと出来るのだろうか、と。だいいちハンドルだけの問題だけでなく、ダッシュボードを左右反対になんて出来ないだろうに、と思った訳です。その答えは、中古部品街にありました。ありとあらゆる自動車部品が所狭しと並んでいる街があります。ちょうど電子部品を扱っている昔の秋葉原の自動車版と言えばいいでしょうか。ハンドルを左右入れ替える、という言葉に納得しました。

 

 中古エンジンも山積みで売られています

 車用品なら一通り揃います

 なんでも解体して売っています

 重いものはこれで運んできます



 中古車販売で驚くのが、値札が付いていない、ということです。この国では売る側が値段を決めるのだそうです。ですので、FOR SALEなどと書いた看板をしばしばみかけますが、書いてあるのはすべて携帯電話番号のみ。そこで電話して値段の交渉をするわけです。これは個人が販売するケースでも、業者が販売する場合でも、扱いは一緒でした。

 友人が知り合いを紹介してくれました。多分、日本でいう乙仲(通関士)かと思います。商品ごとの輸入関税のリスト(冊子)を見せてくれました。例えば、自動車ですと10年を超える中古がどうかが一つの区分、また排気量で1900cc以下か以上かで税率が変わってきます。


 どこか中古車ショップを訪問してみたいと思っていましたが、友人に言わせると、「正直な話しなんてしてくれないと思うよ」、というので止めました。確かに、私がインターネットカフェーでメールチェックをしていると、ショップの職員が私のところへ来て、日本からA3対応のカラーコピーが欲しいとか一眼レフのカメラが欲しいというので、日本のそうしたサイトを見せてあげました。しかし、最後まで、予算としていくら払えるのか、といったことについては何も話してくれませんでした。やはりこのあたりは現地の信頼出来るガーナの人を通して話しをして貰った方がよさそうですね。




<管理人> 知人でゴルフ友達が中古車海外輸出に詳しくて、以下のようなことを調べて教えてくれました。

 ちょっと調べたのですが、ガーナの中古車はほとんどドゥバイからいっているようです。左ハンドルへのつけかえもほぼ100%ドゥバイでやってからきているようです。米国製の日本車(RAV4やアキュラ、セイバー、ピックアップ等)も直接米国からはいってきているのではなく、フランスかモロッコ経由が多いようです。
 とにかく現地の整備工場では「動くようにする」というのが目的で「直す」ことか目的ではないのでかなり危険なものが走っているようです。アクセルシャフトが折れたとか、スタビライザーが無くなったなんてのは日常茶飯事のようです。ちなみに現地で右左のハンドル付け替えができるのはピックアップ系のトラックとFR車のみのようです。

 確かに現地でそれらしい(故障した)車を何度か見かけました。タクシーにそうした事例が多かったのですが、前輪をはずしサスペンション周りを確認していました。安直な修理、変更をしている為、ガーナの悪路にあえなくダウンしたのかもしれませんね。 (2010/02/11)




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